今年も残り僅か。
年末年始真っただ中ですね。
新年を迎えるための準備が整っている人もいれば
『まだ全然どうしよう!?』
という人もいるかもしれません。
でも準備が整っていようがいまいが、日本人ならこれだけは欠かせないはず。
そう、年越しそばを食べること。
年末の恒例行事として毎年食べているご家庭もあるんじゃないでしょうか。
今回はその「年越しそば」にまつわるお話です。
ちなみに今年は「年越しそばいつ食べる」予定ですか?
- 日本人定番、大晦日の年越しそば
- みんな「年越しそば」の何を知りたい?
- 年越しそばの歴史と由来をおさらい
- 年越しそばはいつ食べるのが正解?
- そもそも年越しそば、みんな食べてる?
- 今日の本題、なぜ日本人は「年越しそばいつ食べる」を検索するの?
- 【まとめ】「年越しそばいつ食べる」だけが特別でもない
- 参考資料
日本人定番、大晦日の年越しそば
日本人の年越しそばに対する思い入れの強さは並大抵のものではありません。
年末になると「年越しそば」を検索する人が圧倒的に増えることがその証明の一つでしょう。
その証明をデータで示してくれるのがGoogleトレンド。
Googleトレンドは、特定の期間内で数多く検索されたワードと、その検索数の推移を確認することができるツールです。
ブロガーさんには馴染み深いツールだと思いますが、一般的に利用することはあまりないかもしれません。
このGoogleトレンドでは2004年から現在までのデータが蓄積されています。
試しに「年越しそば」で検索してみると、毎年12月末になると急に人気度が跳ね上がっていることがわかります。
人気度が年々右肩上がりで上がっているのも気になりますが、これはインターネット利用率に比例しているのかもしれません。
みんな「年越しそば」の何を知りたい?
では一体「年越しそば」の何を知りたくてみなさん検索しているのでしょうか。
そこで関連キーワードを多い順に拾ってみると……
といった感じで圧倒的に「年越しそばはいつ食べるのが正解なのか」という疑問が多いことがわかります。
食べる時期が気になるのは年越しそばが縁起物だからでしょうね。
食べるタイミングを間違えたら縁起を担げないどころか、運気が下がるかもしれませんし。
でも毎年の恒例行事なのに、毎年検索されているのはちょっと不思議な気がします。
なぜ毎年「年越しそばをいつ食べる」が検索されるんでしょうか。
年越しそばの歴史と由来をおさらい
なぜ毎年「年越しそばをいつ食べる」が検索されるのかという疑問の前に、念のため年越しそばについて、その歴史や由来をおさらいしておきましょう。
年越しそばは、遅くとも江戸時代には定着していたと言われています。
江戸時代後期に刊行された『大坂繁花風土記*1』には、年越しそばに関する記述が残っているそうです。*2
また大晦日にそばを食べる由来については、そばが他の麺類と比べると切れやすいことからその年の災厄を断ち切るという意味があるのはよく聞きます。
しかしそれ以外にも由来はたくさんあるんです。
例えばカップ麺の製造・販売元であるヤマダイ株式会社さんのサイトでは年越しそばの由来として、以下の7つが挙げられています。
①そばは細く長いことから、延命・長寿を願ったものであるとする説。
②家族の縁が長く続くようにとの意味であるとの説。
③そばが切れやすいことから、旧年の厄災を切るという説。
④蕎麦が五臓の毒を取ると信じられていたことに由来するとの説。
⑤金銀細工師が散らかった金粉を集めるのにそばがきを使ったことから、金を集める縁起物であるとする説。
⑥鎌倉時代、博多の承天寺でふるまった「世直しそば」に由来するとする説。(年の瀬を越せない人々にそば餅をふるまったところ、翌年からみんな運が向いてきた、という伝説があります。)
⑦ソバが打たれ強い植物である事から、健康の縁起を担ぐ説。引用元:ヤマダイ株式会社「年越しそばのはなし」より
いくつか由来があるにしても、年越しそばを食べることは健康や金運を願うといった縁起担ぎであることに変わりはないようです。
新年を迎えるにあたって気持ちを切り替える手段の一つが「年越しそばを食べる」ことなのかもしれません。
年越しそばはいつ食べるのが正解?
年越しそばをいつ食べるのが正解かについても確認しておきましょう。
といっても答えは簡単で、大晦日に食べるならいつ食べても大丈夫です。
この時間帯じゃないとダメ、縁起が悪い、ということはありません。
前述の由来から考えても年を跨いでしまうと厄を年内に断ち切ることができないので、そこだけは注意した方がいいでしょう。
ちなみに私は
『”年越しそば”だから年を越しながら食べないとダメじゃないの?』
という観点で、長い間「年越しそば」ならぬ「年跨ぎそば」を食べていました。
その年の厄の一部と一緒に年を越してしまう、絶対に真似してはいけないパターンです(笑)
というわけで、食べる時間について正解は無いんですが、地方によっては若干食べる時間帯に差があるようです。
天気予報でお馴染みのウェザーニュースのサイトで、過去にこんな記事がありました。
weathernews.jp
この記事では年越しそばをいつ食べるのか、アンケートをとった結果が纏められています。
そしてアンケート結果によると46%が「夕ご飯として食べる」、40%が「夕ご飯の後に食べる」だったそうです。
また関東、沖縄は「夕ご飯として食べる」ご家庭が多いのに対して、北海道、東北、甲信、そして九州は「晩御飯とは別に食べる」ご家庭が多い結果となっています。
大晦日といえば夜更かしが定番ですし、地方によっては二年参りするご家庭もありますよね。*3を
寒い地方で「晩御飯とは別に食べる」ご家庭が多いのは、夜冷え込む時間帯にもう一度温かい年越しそばを食べて体を温め直そう、という理由があるのかもしれません。
そもそも年越しそば、みんな食べてる?
ここまで『年越しそばは日本全国民が食べるでしょ?』ぐらいの勢いで書いてきましたが、実際どの程度の人達が年越しそばを食べるんでしょうか。
一応これも確認しておきましょう。
今年LINEがLINEリサーチで年末年始の過ごし方について全国約55万人を対象に調査をおこなっています。
その調査によると、半数以上の人達が年越しそばを食べる、と回答したそうです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/97b913fbf5358af01b58b766a66debf07886da94news.yahoo.co.jp
また2020年の調査結果ですが、農林水産省もお正月・大晦日に行事食を食べる人がどれぐらいいるのか調査しています。
行事食という括りになってしまっているので、年越しそば以外にもお節料理やお雑煮も含まれてしまうんですが、「ほぼ毎回食べる」「食べることの方が多い」という回答が合計で80%を超えています。
https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/wasyoku/201223.htmlwww.maff.go.jp
流石に日本全国誰もが年越しそばを食べている、という結果にはなりませんが、特別な時期に決まった行事食を食べるという傾向は、いつの時代になっても変わらないものなのかもしれません。
今日の本題、なぜ日本人は「年越しそばいつ食べる」を検索するの?
ようやく今回の本題です。
日本人はなぜ毎年年末になると「年越しそばいつ食べる」を検索するのでしょうか?
この疑問の回答に入るまで遠回りをしてきたようにも感じますが、ここまでの内容から推測できることがいくつかあります。
まず、毎年日本人誰もが年越しそばを食べていたとしたら、毎年年越しそばの検索数が跳ね上がることはないでしょう。
さすがに皆さん覚えているはずです。
少なくとも我が家で年越しそばを食べるタイミングについては、毎年同じでしょうからね。
しかし食べる人が多いとはいえ、半数弱の人は年越しそばを食べずに年末を過ごします。
そういう人達が
『今年は食べてみようかな。でも年越しそばっていつ食べればいいんだっけ?』
みたいな疑問が沸いた時に、検索する可能性があります。
また、最近は外国人移住者が増えているというニュースも耳にします。
例えば2020年の朝日新聞GLOBE+の記事によれば、ODEC(経済協力開発機構)の調査で3か月以上滞在予定の外国人移住者が日本では50万人を超え、世界でも第4位という結果になったそうです。
globe.asahi.com
そういった外国人移住者たちが日本の食文化に興味を持ち
『日本で住むなら年越しそば食べなきゃ!でも年越しそばっていつ食べてもいいのかな?』
なんて疑問が沸いてきて、「年越しそばいつ食べる」を検索するかもしれませんよね。
日本を好きになる外国人の方は日本人以上に伝統を重んじる印象が強いので、十分あり得る話です。
あるいはこういうパターンはどうでしょう。
職場や学校の友人と年越しそばの話題になった際に、お互いの食べるタイミングが違うことが発覚して
『結局年越しそばっていつ食べるのが正解なんだ?』
という疑問に話題が移り変わり、友人と一緒にスマホで「年越しそばいつ食べる」を検索し始める。
普段当たり前と思っていることが、実は他所の家庭では当たり前じゃなかった、なんてこといくらでもあったりしますよね。
首都圏のように地方出身の人達が多く集まるコミュニティだとありがちな話です。
確かに大晦日に年越しそばを食べることは、日本全国に浸透している恒例行事。
でも別に国で定められたルールがあるわけじゃないし、日本人みんなが食べるわけでもありません。
それに食べる時間帯やレシピもお住まいの地域やご家庭での慣わしなどで様々でしょう。
そもそも日本に住んでいるのは今や日本人だけではなく海外からの移住者も大勢います。
だからこそ「年越しそばをいつ食べる」が気になっちゃう人が毎年沢山いても、別におかしいことではないのです。
【まとめ】「年越しそばいつ食べる」だけが特別でもない
「年越しそばいつ食べる」を検索する理由、なんとなく着地点が見えました。
しかしこの現象は、前述の理由以上にインターネット社会ならではの特徴だと私は思っています。
なぜなら、特定の時期に特定のキーワードの検索量が跳ね上がる現象は、何も「年越しそばいつ食べる」に限ったことではないからです。
質はどうであれ、ありとあらゆる人類の叡智が蓄積されている巨大なアーカイブと化しているのが現在のインターネット。
Googleで検索すれば関連する情報が何百件とヒットします。
しかもインターネットはデータの蓄積のみに留まりません。
例えばヤフーの知恵袋みたいに疑問を投げかけると見知らぬ様々な人が答えを返してくれます。
その回答者にも幅はありますが、専門知識を有する人が答えてくれることも少なくありません。
日本を超えて世界中の国々の人々からの知恵を拝借することも可能なわけです。
これはある意味、人間が自分自身の脳とは別に、もう一つ別の優れた脳を手に入れたようなものです。
しかもその脳には自分のみならず世界中の人々が自由にアクセスできます。
その結果、データの蓄積量が常人では蓄えきれないぐらい膨大です。
インターネットで検索をするということは、この巨大な記憶領域を持つもう一つの脳にアクセスして記憶を思い出す行為とも言えるでしょう。
普段さほど重要ではない情報がふとほしくなる時、自分の頭の中からは既に追い出していたとしても、インターネットにあるもう一つの優れた脳を覗けばちゃんとそこにある。
こうして自分の脳とインターネットによって生み出されたもう一つの脳を、上手に使いこなす私たちは、いつの間にかインターネットと一体化していたのかもしれません。
つまり、毎年年末になると「年越しそばいつ食べる」を検索する行為は、もう一つの脳を探るための行為に過ぎないということ。
もはやそこに特別さはありません。
インターネットという強力なツールを手に入れた人類にとってはごく当たり前な働き、生理現象の一つみたいなものなのです。
では今回はこの辺で。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
参考資料
年越し蕎麦 - Wikipedia
年越しそばの意味と由来や食べるタイミングをご紹介!地方での具などの違いも |じゃらんニュース
https://www.newtouch.co.jp/recipe/category/toshikoshisoba/
https://news.yahoo.co.jp/articles/ca294b8ad831adec5ec275e0c591729f81c79d82
年越しそば、食べる時間に意見分かれる - ウェザーニュース
https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/wasyoku/201223.html
*1:読み:おおざかはんかふどき
*2:Wikipedia 年越し蕎麦 の項より
*3:二年参りは大晦日の深夜0時を跨って神社仏閣にお参りする初詣の一種で長野、新潟、群馬など限られた地域でのみ行われている。